This Is Love Story
凛華も今日は賢ちゃんとデートかなー?
もしデートだったら悪いし、凛華を呼び出すのはやめておこう。
行く宛もない私はただぶらぶらと街を歩いて、気づいたら裏路地に来ていた。
月島さんと出会ったあの裏路地。
ここは危険なのに…。
なんでここに来てしまったのか、自分でもわからない。
相変わらず、ここは不気味で薄暗い。
…やっぱり帰ろう。
ここにいても、また危険な目にあうだけだ。
来た方向を振り返って、一歩踏み出すと、
「────…おい。」
背後から聞こえた低くて少し掠れた声。
あぁ…そっか。
私はこの声を求めてここに来たんだ。
振り返ると、漆黒の瞳がこちらを見ていた。
「…月島さん。」
しんとした裏路地に、私の声が響く。
まるで、この世界に二人だけになったような不思議な気分だ。