This Is Love Story
「…結衣。」
切れ長の目を優しそうに細めて言った禅くん。
───ドキン…
初めてだ…。
初めて名前で呼んでもらえた…。
ただの自分の名前が、彼に呼ばれただけで
すごく特別なものに思える。
まるで魔法がかかったみたいだ…。
「結衣ちゃん、俺は?」
「棗くん!」
自分を指差して尋ねる棗くんに、私も満面の笑みで返した。
私の答えに嬉しそうに笑った棗くんを見ていると、こっちまで幸せになる。
この人の笑顔はすごい。
さすが王子様だ…。
今まで何人の女の子が、この笑顔に惚れちゃったんだろう…。
きっと星の数ほどいるんだろうな。