This Is Love Story
もっと禅くんに必要とされたい。
そう思ってしまうのはきっと、私の中で禅くんが特別な存在になっているから。
「結衣、なんか綺麗になった?」
「え?」
私の顔を覗き込むりっくん。
ちょ…婚約者の前で何言ってんの、この人。
「おい理玖、俺の結衣をたぶらかすな。」
「いくら理玖でも許さねぇ。」
りっくんを無駄に威圧する兄弟。
ちょっとちょっと…
仲良くしなさいよ。
「結衣、もしかして…恋っ!?」
「えっ!?////」
目をキラッキラに輝かせてこちらを見るのは、恋愛話大好きな恵梨香お姉様。
「その反応、図星でしょ!?」
「ち…違うよっ!!」
私の手を握って嬉しそうに笑うエリちゃんはきっと鋭いんだと思う。
私も、本当はもう自覚はしている。
…ただ認めたくないだけ。
今の関係で、私は充分だから。
そう自分に言い聞かせる私はかなりヘタレ。
本当はただ、フラれて禅くんたちに会えなくなるのが怖いだけ。