This Is Love Story
「好きな人?誰、それ。」
「うわ!佑、シスコンかよ!」
何故か眉間に皺を寄せて、不機嫌そうな顔をする佑とそれを茶化す賢ちゃん。
私、「ちがう」って言ったのに…。
「…もうっ!好きな人なんていないから!
ケーキ焼けたら持っていくから、部屋で待ってて!」
いくら否定してもきっと信じてもらえないだろうから、私はキッチンからみんなを追い出した。
「わー!結衣、怒んないでぇ〜!
……賢一のせいだからね!?」
「なんで俺!?」
いや、別に怒ってはないけど。
あんなに謝られたら、なんだかこっちが悪いことをしてしまった気分だ。
私はさっき閉めたばかりのキッチンのドアを
開けて、エリちゃんに謝った。
「エリちゃん、ごめんね。
私怒ってないよ?」
「結衣ぃ〜。」
私に泣きつくエリちゃんは、強いけど甘え上手で…とことん魅力的な女の人だ。
「恵梨香、結衣が困ってるから。」
そう言ってエリちゃんを私から引き剥がして
彼女の肩を抱くりっくん。