わたしのキャラメル王子様・番外編
彼の前髪や顎のライン
睫毛の先までをなぞるように
雨の雫がスローモーションでしたたりおちて
子供はつぶっていた目をゆっくり開けた。
目を合わせてしっかりとみつめあうふたり。
すべてを委ねるように
添えられたおおきな手に子供は頬を預けている。
目尻の方へとすべる親指がまた雫を払う。
子供はもう瞬きひとつしない。
優しい眼差しで子供を見つめながら、彼の口元が何か言った。子供はそれをじっとみつめている。
無音だけれど
その口元は何かを喋ってる。
ゆっくりと動くその唇からこぼれる言葉を捕まえようとするみたいに、子供は白い小さな手を伸ばした。