わたしのキャラメル王子様・番外編

でも。
待って?



こんなことをするのは悠君しかいないような気がする。



すごく嬉しいけど
でも、長い待ち時間だって寒さだって、悠君と一緒ならなんでもないのにな。
近くにいられるだけで幸せなのにな。



そういうの、伝わってない?
もしそうならそれは、
素直になれないこの性格のせい。
……なんだかへこむ。



迷った挙げ句に、お店に行ってみることにした。すぐ上のフロアだし、断るにしても直前キャンセルは失礼すぎる。



「あの、すみません……」



ドアを開けると、室内の温かさとアロマオイルの香りに力が抜けた。



店内はシンプルなアンティーク調の家具でまとめられていて、斜め後ろには見るからに座り心地のよさそうな、品のいいソファ。



あそこに座ってしまったら2度と立ち上がれなくなるような気さえしてくる。



「いらっしゃいませ~♪」



細身で美人のお姉さんに満面の笑顔で歓迎されて、少し口ごもった。



「えっと、予約通知をいただいた入来といいます、それがあの……」



「入来様ですね。お待ちしておりました。お荷物お預かりします」



ニコニコ。 ニコニコ。

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