わたしのキャラメル王子様・番外編
「じゃなくてあの、コンサートに間に合わなくなるので、今回は……」
「大丈夫ですよ。私共スタッフはそのあたりの情報も重々把握しております。ここはコンサートの待ち時間のための待機場所としてお客様に支持されているお店ですので。開場時間に間に合うよう施術いたします」
「でも、グッズ列に並ばせてる子に申し訳なくて。彼、一人だし」
「彼?恋人ですか?」
お姉さんがズズイ!と迫ってきて思わず後ずさってしまった。その反動で、あのソファに追いやられ、ぽふっ、と。
ふかふかソファにお尻吸い込まれた!
「もしかして昨日うちに来た……女性のお名前でご予約されていかれたので、覚えてます」
「あ、たぶんその人、です」
「やっぱり!あのイケメンが!」
お姉さんが鼻息荒く呟いた。
「は、はい?」
「あっいえ、なんでもございませんっ」
ニコニコ営業スマイルだけど
お姉さん、明らかにうろたえてますよね?
「外は寒かったでしょう?足もむくんでらっしゃるはず」
「あ、確かに」
とっくに冷え冷えのパンパンだ。
「お支払も済んでますよ。素敵な彼氏さんですね」
「えっ、そうなんですか?」
今日の私本意のこのデート。
あんなに乗り気じゃなかったくせに、まさかの計画的犯行だった。