わたしのキャラメル王子様・番外編

よっぽど疲れていたのか、部屋へ上がると残りわずかな体力を温存しようとするみたいに、悠君は深い眠りに落ちてしまった。



冷やす以外に何ができるかな。冷却シートってほんとに効果あるのかな?
そっとおでこの濡れタオルを取り替えながら考えた。



真っ赤で苦しそうな寝顔を見ていると、少し不安になる。呼吸だって荒い。
早くお薬が効くといい。



カーテンの隙間から外を見たら、チラチラと舞っていたはずの雪はいつの間にか数センチほど積もっていた。



もしかしたら、こんなふうに弱っている悠君を見るのは初めてかもしれない。



悠君はママを小さい頃に亡くして、お父さんとその後妻となった新しいお母さんの3人家族だった。



さっきの悠君パパの家訓じゃ、きっと病気をしたときは家族から離されて、お手伝いさんみたいな人がお世話をしてくれてたのかもしれない。



それに物心ついたら日本で独り暮らしをしていたせいで、誰かに面倒をみてもらう、ってことがほとんどなかったんだと思う。
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