わたしのキャラメル王子様・番外編
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「オレ~オレ~♪オ~レが作るぜオレライスぅ~♪健康第一、家内安全~♪」
意を決して玄関を開けたのに聞こえてきた歌で膝から崩れ落ちた。
「悠君何作って……うそ!」
キッチンに入ってビックリした。
ご飯を作ってることは想像できたけど、あの悠君がスマホとにらめっこしてたから。
レシピ見てる!
あの、超感覚派なはずの悠君が!?
……いや、喜ぶのはまだ早い。
「あっ、おかえり~♪」
「ちょっ、吹きこぼしてるっ!」
「わ、ほんとだ」
あわてて火を止めた。
だよね。悠君は一度にふたつのことができるほど器用じゃない。
その法則でいけば、受験生しながら当麻君のオファーなんか受けられるはずがない。
「ふぅ、ギリセーフ」
「いや、半分減ったよ?」
「じゃ、ギリセーフじゃん」
お鍋見て、ニコニコ笑ってますけど。
「ねぇスライサーって千切りが簡単にできるらしいんだけど、なんでか汁がでてくんだよねー」
悠君が握っているのはおろし器で、ボウルのなかできゅうりがスムージーみたいになっていた。
「……えーっと、よし!手伝う」
ピリピリしてたのがバカみたい。手を洗って、一緒に料理をすることにした。
もう。調子狂うなぁ。マイペース王子め。