わたしのキャラメル王子様・番外編

顔が近づいてきたから、反射的にぎゅっと目をつぶった。



「俺は今すぐにでも沙羅のこと脱がしたいけど?」



予想を裏切られて耳元で甘く囁かれた。そのうえ熱い吐息にくすぐられて……声なんか、出るわけがない。



「どう?今のちょっとはドキドキした?」



「ちょっと……どころか……」



息止まったし、今にも腰が砕けそう。



固くつぶっていた目をゆっくり開けたら優しく腕を引かれて、壁際から一瞬で悠君の胸のなかに収まってしまった。



「やっぱ俺、壁ドンってキャラじゃないよね」



ドキドキしたまま顔を上げたら、切なくなるくらいに優しい笑顔と目があった。



「ね、どうしたらもっと俺に夢中になる?」



オロオロしてたらふわりと抱きしめられてしまった。



「アイツの裸見たことなんか忘れちゃえ」



髪に顔を埋めてそんなお願いするなんて。



「そんなの、とっくに忘れてたよ」



そんなことされたら、素直にそう白状するしかなくなるよね。

< 81 / 141 >

この作品をシェア

pagetop