わたしのキャラメル王子様・番外編
顔が近づいてきたから、反射的にぎゅっと目をつぶった。
「俺は今すぐにでも沙羅のこと脱がしたいけど?」
予想を裏切られて耳元で甘く囁かれた。そのうえ熱い吐息にくすぐられて……声なんか、出るわけがない。
「どう?今のちょっとはドキドキした?」
「ちょっと……どころか……」
息止まったし、今にも腰が砕けそう。
固くつぶっていた目をゆっくり開けたら優しく腕を引かれて、壁際から一瞬で悠君の胸のなかに収まってしまった。
「やっぱ俺、壁ドンってキャラじゃないよね」
ドキドキしたまま顔を上げたら、切なくなるくらいに優しい笑顔と目があった。
「ね、どうしたらもっと俺に夢中になる?」
オロオロしてたらふわりと抱きしめられてしまった。
「アイツの裸見たことなんか忘れちゃえ」
髪に顔を埋めてそんなお願いするなんて。
「そんなの、とっくに忘れてたよ」
そんなことされたら、素直にそう白状するしかなくなるよね。