わたしのキャラメル王子様・番外編








「というわけ。わかった?」



「……うん、わかった」



話を聞いたら、頭ごなしに出演反対!って言えなくなってしまった。一度断ったのに受けたのにはそれなりの理由があった。



悠君は初め、当麻君じゃなく迷子になっていたあの子に気に入られたらしい。『チーム当麻』のあの子が悠君がいい、って言ったんだって。



「はいこれ。絵コンテっていうらしいよ。ライブと同時進行でこっちの撮影も進んでたみたい」



「わ、すごい!」



映像をワンシーンずつマンガで説明したような、カット割というものを見せてくれた。



歌のどの部分にどんな映像があてはまるのかわかるよう、ひとつひとつに歌詞が書き込まれてる。



「すごいね、こんなのあるんだ」



「流出厳禁だから、ここだけの秘密ね」



「うっ、うん!」



これってプロの世界の、
綿密なお仕事のための資料なんだ。



「あの子……ルークっていうんだけど、扱いが結構難しいらしくてさ、このシーンの相手役探すのに苦戦してたらしい」



指差されたところを見ると、天使役のあの子の頬を伝う涙を誰かが拭うシーンだった。



「身体に触れられることに嫌悪感があるんだって」



悠君がそう言って残りのショートケーキを一口で食べたから、私は続きを待った。



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