わたしのキャラメル王子様・番外編
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「なにこの現世離れした美しさは……」
映像を見終わった京ちゃんの静かな興奮が伝わる。
「だよね、口ポカンで歯が乾く感じじゃない?」
「例え下手だな」
私の興奮はうまく伝わらなかったけれど。
そうつまり。
映像から沸き立つふたりの神々しさに、私たちはすっかりやられてしまったのだ。
「なんでこんなに違和感ないの?顔映ってなくてもイケメンがバレバレじゃない?」
京ちゃんが上げた声に思わず「それな」と合意してしまうくらい、悠君は映像になってもパーツになっても、やっぱり悠君だった。
ごくごく自然にフレームのなかに収まっちゃって。顔がでないにしたって、ちょっとは緊張とか戸惑いとかないのか!
「しかもこれ、まだ素材なんだよ」
最終的には、いくつものカットを他のシーンなんかと繋ぎあわせてCGなんかで加工したりして、曲も付いてやっと完成するらしい。
「あり得ないね。これに当麻のシーンも加わったら、どうなっちゃうわけ?」
「ほんとそう思うよ」
悠君の顔はギリギリ映っていないのに、この映像が日本中に知れ渡ると思ったら震える。
でも、覚悟を決めよう。
タブレットを一度膝に下ろして
おおきく深呼吸をした。
「実は本題はこっちなんだ。ついさっき同じ映像の別バージョンが届いたの」
「へぇ、そういうこともできるんだ」
京ちゃんは呑気にしてるけど
私はずっとドキドキしてた。
「一人で見る勇気ないから、一緒に見てお願い~!」
たぶんこっちには、本来当麻君や制作チームが撮りたかったものが、ごまかされずに全て収まってるんだと思う。
同じカット割でも
悠君の顔出しバージョンなんだとわかってた。