暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「1……2…………ここでターンだったね」
「そうでございます!いい感じです!」
「おっと!難しい………………」
本番は身長や体格なども変わってくる。
今は踊れても本番踊れなきゃ意味はない。
使用人とどうにかして練習してるけど、やっぱり限界ってものはある。
「少し休憩しましょうか」
「では、お茶を持ってきますね」
「ありがとう」
サニーがお茶入れに側を離れた時、入れ違いで現れたのは意外な人物だった。
「失礼致します」
「………………えっ!?」
「偶然近くを通り掛かったのですが、そしたらこの部屋から何やら音楽が聞こえまして」
ファン宰相はそう言うと私の近くまでそのまま歩いてきた。
「社交ダンスの練習をしていたのです。使用人と合わせて踊っていたのですが、やはり女性と男性は違いますので本番が少し不安でして………………」
色々と準備するうちに時間はあっという間に過ぎていくし……………………
パーティーが不安すぎる。
「そうなのですね。………………では、私が1曲お相手致しましょう」
「え!!そんな………宰相様にそのような事…………」
「別にお気になさらないでください。では、お手をどうぞ」
「お言葉に甘えて……………お願いします」
前に差し出された右手の上に、私は手を重ねた。