暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】

これでも側近メイド!

















あれから使用人が用意してくれたお茶も忘れ、急いで身支度を使用人にしてもらった。


今回は黒色がメインで赤いバラ柄が散らばり、見た目的にはゴシック風の少し威圧的なドレス。



今回参加する陛下の服装は、黒色のマントに金の刺繍が施された服で、


どうやらその陛下の服装に合わせたみたい。




髪型はハーフアップで、今回は巻かずにストレートでしてもらっている。


何だかこうして鏡の前で見ると、大人な感じに見える。



「アニ様。馬車へどうぞ」


促されるまま、私は馬車の中へと乗り込んだ。



中には誰も居らずしばらく一人で座っていると、


遠くからでも分かるピリッとした空気に一瞬にして静まる外に、私は陛下が来たのだと悟った。



「ご機嫌よう、陛下」


マナーの本に挨拶の際は出来る淑女らしく『ご機嫌よう』と優しく言いましょう、と書いていたことを思い出した私は、


馬車の中に乗り込んできた陛下に、慣れないがそんな事を言ってみた。



少し、ぎこちないくはあるが…………。



< 105 / 224 >

この作品をシェア

pagetop