暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
すると陛下は私の方をチラっと見ると、
「久しぶりだな」と短く返事をし、向かいの席へとついた。
陛下と馬車に乗るのはこれで2回目。
1回目はここへつれて来られたとき。
2回目は他国へのパーティーなんて、
この数カ月、色々とあり過ぎて日々濃く感じる。
ここから他国の会場までは3時間も掛かるそうで、馬車の中はあの時のようにシーンと静まり返り、やはり居心地が悪い、と思いきや……………………………その沈黙を突如破ったのはなんと思いもせず陛下だった。
「最近どうだ?宮殿にはなれたか?」
「え………………あ、はい。使用人の皆も私に良くして下さり、お部屋なんかも私には勿体無いぐらいです。図書館も使わせて頂き、何も不自由のない生活をさせて頂いております」
したいことは出来るし、毎回美味しいご飯は食べれるし。
幸せの極みだ。
ただ一つ。使えられる側になるのは未だになれないけれど……………………。