暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「陛下は………そのぉ…………いつまで私を宮殿に置くつもりですか?」
この生活も良いのだが、そろそろメイドとしての本分に戻りたい。
飽きてくれるまで待ってみたが、一向にその様子は見えないんだよね…………。
「お主は宮殿に居るのが嫌なのか?」
「いや…………そんな訳ではありませんが………………私にもやるべき事と言うものがありまして、戻らないといけないのです」
ひたすら地味に、目立たずにひっそりと宮殿で仕えるのが私にはあっている。
それに安全な場所で、それなりに生活できれば私は満足だ。
「他の女どもは余の心につけ込みたくて必死だと言うのにな…………。だからかお主は変わっていて尚面白いのだ」
「……………言っている意味が良く分からないのですが……」
「庶民育ちのお主には分からぬ。気にするな」
そう言われると尚さら気になってしまう……。
それに何でかな?
たまに陛下は少し切ない表情をなさる。
一瞬フ………ッと見せては、いつものポーカーフェイスに戻るけれど。
それが少し気になる。