暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「あの…………陛下」
「何だ?」
「陛下は何がお好きですか?久々に話すのですから、好みを聞いてこおうと思いまして…」
何を思ったのか私は陛下にそんな事を聞いていた。
もちろん陛下はいきなりそんな事を聞いてきた私に、『一体なんだ?』と怪訝な目を向けていたが、珍しいことに案外すんなり教えてくれた。
「お主だけには教えてやっても良い」
一瞬、陛下が柔らかい笑みを浮かべた………そんな気がした。
「基本肉は好きだな。ステーキやハンバーグ、肉料理なら何でも。逆に野菜は余り好まんが、健康に煩いアイツのせいで強制的に野菜ジュースは飲まされているが」
「そのアイツとは…………………………もしや宰相様の事ですか?」
「そうだ。良く分かったな?」
「あ~………その…」
極一部の人しか陛下と宰相は幼馴染ということ知らないので、この私が知ってるってのはちょっと可笑しいよね……。
「宰相様が良く陛下のお側にいらっしゃるので、もしやと思いまして。………まさか、当たっておられたのですか?」
いかにも『知りませんよ』という演技に、我ながら上手いと褒め称える。