暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



確かにこの金色のコップ…………そしてこの花の模様は、有名なグラス職人マテオ・マテラが作る技法と同じで親しまれている。



ステラ様王女様のように、コップ一つでそれは相当な値が付くのだが……………………



「それは偽物ですよ」

「は?何言っているの……!!負け惜しみもいいとこね!」


本当に些細な違いだが、分かる人には分かるのよ。


「恐らくその金色は……………金箔と他の素材をうまく組み合わせたもの。だから、光に当たると艶めきに掛けているわ。それに、その花の模様だけど、本物はもう少し素朴な模様のはず。そこまで、派手ではない」


実は宮殿に2つあるんだよね………(笑)


その時は商人ではなく、職人の方が訪れて陛下の誕生日祝いに頂いたらしいけど、



陛下の執務室で何度か飾っているのを目にしたことがある。

その時は私がメイドとして仕えているときで、陛下の執務室掃除は側近部の当番制になっていた時から、



それなりに見る機会があったのよね。



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