暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



「………………アニ、こちらへ来い」


「は、はい………」

 
その言葉に逆らってしまえば、殺されそうな雰囲気。


私は静かに陛下のものへと歩いて行くと、陛下は私の腫れた頬に手をあてた。



「…………赤く腫れているな。直ぐに氷を用意させよう。誰か、ここへ氷を!そして、アニを外の休憩室へ!!」

 
「は、はい…………!」


その気迫に思わず周りは従わざるを得なかった。


気づけばタオルと氷袋が私の元へと渡され、あっという間に外の休憩室へと出されていた。



「ここで……お待ち下さい」

「すいません…………」


パーティーに参加していた男性が、何とも言えないような微妙な笑顔を私に向けた後、会場へと戻っていく。


無駄に騒がしいパーティー会場…………。



一体どんな状況になったのだろうか。


ステラ王女様はどうなったのだろうか。



私の能力とは不思議なもので、他の人は治せても自身は治せない。


だから、ヒリヒリと頬が痛む。



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