暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「その事で話があるのだ」
そう言うとファンの顔付きが一瞬にして変わった。
「直ぐ様兵の準備を。ヴィスタン国を今夜中に侵略する」
「……それはいきなりだな。今夜パーティーで楽しめなかったのか?」
「王女が気に食わん。直ぐに侵略した後に国王と王女、王族の者は全て死刑にしろ」
そう発する陛下の顔は、それはそれは恐ろしく冷めきっており、幼なじみのファンでさえ身震いしてしまう。
「………直ぐ様その様に指示をだすか。今夜中だな?」
「そうだ」
「では、全兵力を上げて乗り込むとしましょう」
ファン宰相はこの男が敵側でなくて良かったと心のそこから感じた。
そして、
その夜ヴィスタン王国は一夜にしてアンディード帝国に侵略されてしまった。