暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
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_______早朝。
宰相である俺……ファン・ギルド・ロンザードは、執務室へと駆け足で向かっていた。
(朝から一体何が起きるのか…………。昨日だって徹夜続きで寝不足だというのに)
心の中で少し苛立ちを考えつつ、顔は通常モード。
いつものように的確な指示を周りに出していた。
「ここから先は封鎖するように。陛下と大事な話をするがゆえ、執務室へと繋がるこの廊下には誰も入れないで下さい」
「「「「「はっ!!!!!」」」」」
大体早朝に俺を呼ぶときは………と言うか、会議や仕事とはまた違う時間外の時間に俺を執務室へ呼ぶときは、大概変な事しか言わない。
その為、嫌な予感しかしない。
「陛下、ファンです。入ります」
____ガチャ。
「よく来たな」
「いや、『よく来たな』じゃねーよ!俺、昨日お前から出された指示で徹夜した挙句、こんな時間に呼び出しとか勘弁してくれよ………………幼なじみだろ」
「お前は宰相だから仕方なかろう。それに幼なじみは今関係ない」
「で、何の話だ?侵略の話は報告したはずだぞ?捕えた王と姫、並びに親族共々牢屋に閉じ込め夜が明ける前に処刑したし、仕えていた者らは現在も牢屋に閉じ込めている。国民に侵略した事を知らせるビラは滞りなく配った」
「それではない。でもまぁ……………その牢屋に入れた者らの処分も決めなければならぬが」
「それでないと?」
では、何なんだ?
他に大事な話とは一体……。
(……………………まさか)