暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「アニさんを罰するつもりなのか?別に疲れてたんだから、うっかり寝てしまったぐらい仕方ないだろう。罰しなくとも………」
リードが視察先から帰ってきたと思ったら、らしくもなく女を連れてるし、最初は天変地異が起こったのだと思った。
態度や仕草から見て明らかに令嬢でもないところを見ると、視察先の町娘だろうとは思ったが、
それにしては礼儀がしっかりしているし、賢そうな瞳をしている。
何者かは全く分からないが一つだけ言えることは、その女が来てからリードは少しずつ変わりだした。
……………本人は気づいていないようだけど。
「お前、なぜパーティーに出ようと思った?俺が言っても絶対に何としても聞かないそのお前が」
「何故……とは?他国との交流も大事だといったのはお前ではないか」
確かに大事だとは言った。
誘いを貰っておいていつも断りの返事を入れるのは流石に辛いし、長いこと参加していないので行ってみてはと思ったが、
話の最中、明らかにリードは断る気満々だった。
それが何故行く気になったと思う?
「俺はアニさんを誘ってみてはと提案をした」
「だから何なのだ?」
「どうでもいい女とお前は行くたまか?妃をめとってみればと提案しても、すんともしないお前が。少なからずあの女に気持ちがあるから側に置いているのではないのか…?」
俺はリードに人間としての感情を再び取り戻してほしい。