暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
そもそも人払いをした上に立ち入らないよう兵士まで浸けたのに、
そいつらは一体何をやっているんだ。
ため息を付きつつ、ここから離れるように促そうと口を開き掛けた時、
外から聞こえてきたのは何とあの人だった。
「アニでございます。宰相様と大事なお話中、非常に失礼致します。無礼を承知でここへ参りました」
緊張した感じの声が聞こえる、
「アニ……?」
俺と同じくリードは予想外の来訪に驚いていた。
『大事なお話中』と言っていたところを見ると、使用人からこの事は聞いていたようだが、それでもここへ来るなんて何て度胸だ……。
「昨夜の件でお話がございます………。どうかお会い出来ませんでしょうか?」
昨夜の件となるとパーティーの話か、もしくは侵略したことなどだが、
無礼を承知でここへ来たことを考えると、それよりも重大な話の感じもする。
「……せっかくだ。妃の件は余から伝える。よいか?」
「構わない。くれぐれもいじめ過ぎるなよ?」
「イジメなどしない。表情を楽しむだけだ」
リードは外にいるアニさんへ中に入るよう声をかけると、
「失礼致します」
と言う声と共にゆっくりとドアが開いた______。