暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



確かに妃の件は結構重要な事で、ある書物によれば妃達に惚れ込み堕落した王が、政権を官僚等に奪われてしまった事例や、


寵愛を受けようと嫉妬に狂った妃同士の激しいやり取りが宮殿の空気を乱すなどの事例は少なくない。



つまり私が妃となって凶と出るか吉と出るかは、今後の態度次第ということになる。



『余に愛される妃を演じろ。皆の前では堂々と相愛する姿を見せ付ければ良い』

『演じる……………ですか』


『厄介な輩もいるだろうが笑って誤魔化しておけば、そなたなら何とかなるだろう。安心せよ、互いにメリットはある。


余は縁談を持ちかけられる事が少なくなり、かつ政治の幅も広がる。そなたは余のたった一人の妃として、この宮殿では誰も逆らえぬ。良い生活も保証済みだ』


お互いメリットのある約束…………。


私はそれに賛成し、現在に至るのだ____。


良い妃を表で演じるだけで、私は安心した生活が送れる……。



確かに上にいれば、害をなされる事も少ないのかもしれない。


けど、それは少し簡単に見すぎているような気もする………。



安心だと思っていた場所で危ない目にあったように、


例え上についたからといって、決して安全と言うわけでも、もしかしたらないのかもしれない………。



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