暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
使用人専用の部屋がある寮の廊下を久しぶりに歩く。
この時間帯は皆それぞれの仕事にて出かけているので、まず部屋にいることは無い。
そのため、寮内はとても静かだった。
『405号室』と書かれたドアをノックする。
____コンコンコン。
音だけが無駄に響き渡る。
中からの返事はない。
____コンコンコン。
「…リアンナ私よ。アニよ」
次は名前も出してノックをしてみると、少し間がいた後に戸惑うような声が中から聞こえてきた。
「…………………お妃様…?」
「そうよ。最近顔を見ていないと思い気になって周りに聞いたら、具合が悪いので休んでいると知って、心配して来てみたの」
働けないほど具合が悪いのなら、我慢せずにお医者様に見てもらった方が絶対いいし、それに____。