暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
そんな思いでこの宮殿に仕えて早6ヶ月。
季節は秋に入ろうとしていた頃、私は思わぬ事を耳にすることになった。
『アニ様を陛下のお妃様に任命致す』
突如下された辞令に戸惑う周りと、喜ぶ者たち。
私はただ呆然とその辞令を聞いていた。
いずれアニ様が陛下のお妃様になるのだろうとは、何となく察しがついていた。
アニ様はお心が広く、使用人の私共にも変わりなく優しく接して下さるお方。
そんな方が陛下の妻になる。
素直に私はその出来事に祝福をした。
_______だが、中にはそうでない者もいることを私は忘れていた。