暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「それよりリリアンだっけ?なんか、その子の探し用も凄くてさ、今日もまた探索らしいよ」
………そこまで探さなくともいいのに。
いくら探したって見つからない。
皆、いつもの日常に戻る日が来たの。
「陛下は……どうなされてるのですか……?」
「珍しいわね…。あんたが陛下について話を持ちかけるなんて」
「い、いえ………ただの興味本位でして……っ」
いつもなら言わないであろう言葉に、アイルさんは少し怪しんでいる様子だったが、
特にあまり気にしていないようだった。
「ふ〜ん………まぁいいけど。噂ではまたあの陛下に逆戻りらしいよ?」
「あの陛下……ですか?」
「えぇ。お妃様が出来て少しは柔らかくなった性格もまるで嘘かのように、今じゃ前より濃いどす黒い殺気を漂わせているのだそう……!」
私がいきなり居なくなって、怒っていらっしゃるのかもしれない。
何も言わずに出て行ったから………。
「私達はいつも通り頑張りましょう」
「貴女の真面目はやっぱり治っていないのねぇ〜。そんなんじゃモテないわよ(笑)」
「興味ないので」
そう。これがいつもの私だ。
いきなり現れた私がいきなり消えたのならば、そのうち、時が経つに連れ、皆も私の事を忘れていくだろう。
あれはただの夢なのだから。
そろそろ皆夢から覚めるべきだ。