暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
不思議な黒髪の女
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「……………………まだ5時か」
メイド生活に慣れてしまったアニーナは、早朝に目が覚めた。
二度寝する気分にもなれず、そのまま1階にあるリビングへと足を運ぶと、仕事着に着替えた父の姿があった。
「お父さんおはよう」
入り口にいた私がそう声をかけると、まさかこの時間に起きてくるなんて思わなかったのか一瞬父は驚いた顔をしたが、直ぐに優しく挨拶を返してくれた。
「起きるの早いな~!母さんより早いんじゃないか?(笑)」
鞄の中を整理しつつ、冗談っぽく笑う。
「仕事で体が慣れてるから、ついこの時間に起きてしまうの」
本来仕事開始は6時なのだが、その間にメイド長による全体のミーティングや宮殿内の掃除などを行わなければならない為、5時起きで作業をしなくてはならない。
最初は体が追いついて行かなくて辛かったけれど、今は時間になればパッと起き、仕事をこなせるようにまで成長した。