暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「私で良ければいつでも手を貸しますよ」
「アニーナ助かる!!」
頑張って口元だけでも笑わせてみる。
アイルさんは気づいていないようなので、取りあえず安心。
「次の作業へ移るまでにまだだいぶ時間があるから、休憩しましょうか」
「そうですね」
アイルさんのそんな言葉で休憩に入ろうと歩き出したときに、
問題は起こった___。
「陛下、お好きな物はなんですの?」
運悪く出くわしてしまったのは、綺麗なドレスに身を包み、首からぶら下げる宝石はいかにも高級物の、
女の人……………。
陛下に腕組みをして、仲良さげに話しているように見えた。
「………………あれ、陛下じゃん。相変わらずカッコイイわね〜。見れただけでもラッキー何だけど、あの女誰だろう?」
アイルさんは興味津々でコソコソ声をしながら私にそんな事を聞いてくるが、
私に分かるはずがない。