暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「聞いておりますかぁ?あ、このドレスお気に入りなんですけどどうです?」
女はそう言って真っ赤なドレスの裾を掴んで見せる。
正直何とも思わない。
それだったらアニの方が綺麗だった。
アニが初めてこの宮殿へ来たとき、長くに渡り使われていなかった真っ赤なドレスを贈った事があったのだが、
黒い髪に真っ赤なドレスが良くあい、感じた通り似合うと思った。
何も欲などなく着飾ることに興味ない上、他人の事を優先するあやつ。
危険もかえりみず商人に突っ込んだり、パーティーの時も姫にあのような事を言い切るなど度胸もかなりあった。
出会った時から危なっかしく、守る意味と妃を娶れという輩への防波堤で妃にしたのだが
余としたことが、思ったよりも情がわきすぎたみたいだ。