暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
アニがいない日常など全然楽しくなく灰色のよう。
女など全て同じに見えるだけだ。
「……触るでない。余はそなたなどに興味ないゆえ去るが良い」
絡まされた腕を振りほどく。
女は驚いた顔で見ていたが、余には何も関係のないこと。
「さっさと父と一緒に帰るが良い」
放心状態の女に背を向けそう言い放つと、マントを翻して廊下を歩く。
何歩か前に進んだとき、
「アニーナ!!??うそ!!!誰か!!!」
何やら女の騒ぐ声が聞こえた。