暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「………………気が変わった。余が運ぶゆえおぬしは仕事に戻るが良い」
「いえ、陛下にそのようなことは………っ!」
「良いと言ったらよいのだ。行け」
そう言うと申し訳なさそうな顔をしつつ、その使用人はその場から去っていった。
残ったのは余とこの倒れた女。
「なぜ運ぶ気になったのだ…………」
普段なら使用人を運ぶなど死んでもしない。
だが、何故か…………………………この女には何かを感じる。
前世からの繋がりか何かなのか、ただ顔を知っているだけであると言うだけか。
「………やっぱりファンのやつに運ばせるか」
実に運ぶのが面倒くさい。