暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
混乱している間にも苦しそうな声が聞こえてくる。
取りあえずその女を抱え、医務室へ向かうことにした_______。
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「………………ん…んっ……」
一番最初に目にしたのは真っ白な天井で、回らない頭でここはどこか、なぜこのようなところに居るのかを必死に考える。
薬品の匂いや真っ白な布団からして、恐らく宮殿の医務室だろう。
近くの机の上には飲み終わり水滴のついたコップと、薬を入れていたであろう空の袋が置いてあった。
「確か息が苦しくて……それで視界も狭まってから、私倒れたんだっけ?」
ここにいるという事は、誰かがここまで運んでくれたって事よね?
「アイルさんかな……。近くにいたし、申し訳ない」
後でお礼を言っとかなくちゃ。
そんな事を思いながら使っていたベッドのカーテンレールを開けたとき、
私は思わぬ人の出現に思わず固まってしまう。
「運んだのは余だ」
「………………一体……」
そこにいたのは、黒いマントに身を包んだあの人……………………そう陛下が立っていた。