暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
サニーやリリアン、ダリアに他のメイドの皆が大切だから、
これ以上巻き込みたくない。
痛い思いをしてほしくないの。
それだと言うに、陛下の返事は思ったよりもアッサリしていた。
「だから何なのだ」
「…………え?」
「確かに昔の宮殿でも妃や女にまつわる出来事が多かった。嫉妬に狂ったものによる犯罪、妃同士による凄まじい戦いなど、宮殿は荒れていた。余だってそうだ。正妃の子供ということで、何度も命を狙われかけた。それでもこうしてここにいる」
陛下も………………命を狙われていたんだ。
誰もが恐れる陛下って感じしか知らなかったから分からなかった。
「おぬしは余の妃だ。例えば身分がメイドであれど、変わりない」
「私がいればまた大切なものを傷つけてしまいます………っ!」
「おぬしが皆をそう思うように、周りも同じなのだ。あのときおぬしに仕えていたメイド達は、未だに帰りを待っておる」
「サニーやリリアン達が…………私の帰りをですか?」
「あぁ。先日会ってみたが元気がないように見えた」
私が客室であったときも具合が悪くて倒れてたもんね。
相当疲労が溜まっていたのかもしれない。