暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
_____
___
_
「アニ姉!町へ行こうぜ」
お姉ちゃんは大学へ行き、母は隣に住む里の住人と用事があるとのことで、家にいるのは私とグラントの2人だけだった。
「え、町!?」
「あぁ!久々だろ?案内するよ」
グラントは私の手を引いて外へ連れ出す。
「ちょっと待って!私ウィッグ被ってないから流石にこのままじゃヤバイよ……。家に戻ってウィッグかぶらせて?」
流石にグラントが一緒にいたとしても、最小限危ないことには巻き込まれたくない。
武術に秀でていたとしても、所詮子供だ。大人相手じゃわけが違う。
しかしグラントは『大丈夫だって(笑)』と笑うと、自分の着ていた青のフード付きジャンバーを手渡してきた。
「例えその髪でもフードかぶってりゃ分かんねぇって!」
「そ、そうかなぁ…………………」
「ほら、行こうぜ!」
久しぶりに会えたのが嬉しかったのか、グラントの横顔は何だか凄く嬉しそうで、私は少しだけ強引な行動を許してしまった。
深くフードをかぶり周りを気にしながらも、私はグラントに連れられ隣町へとやって来た。