暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「うわ………………………スゴい」
私が元いた町も建物など発展しており凄かったが、この町は国境近くにあるからか他国文化を利用して作られた建物や、輸入品などが多く売られ、とても目の引くものばかり。
(しかも、人が多い……………)
「はぐれんなよ?」
「う、うん………………」
この町をよく知らない私がもしグラントと離れてしまったら、きっと道に迷い帰る事が困難になること間違いない。
離れないようにとグラントの横にピタリとくっついて、町の観光の観光をする。
アーチの下を潜ると、煉瓦造りの立派な建物が並ぶ商店街が見えてきた。
私がいつも行くところは朝早くに開く誰でも売買可能なテント式の市場だが、もちろん城下町にもこのような商店街は存在する。
宮殿から少しばかり遠い為、あまり行かないが…………………。
「ねぇ、あの店に入っていい?」
観葉植物や鉢物のお花が店先にたくさん飾られた、オシャレな外観のお店が私の目に入ってきた。
「あそこ?別にいいけど」
人混みをかき分けながら道を進みそのお店へと入ると、店内の天井には花を乾燥させたもの、ドライフラワーが吊るされていた。
「スゴい……………こんな物まで売っているのね!」
「何が凄いんだ?枯れてるだけのただの花だろ」