暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
「何言ってるの………。ドライフラワーってのはね、吊るしたり飾ったり瓶詰めにも出来たりして、使い道は多種多様なのよ」
私が必死にそんな事を語っても対するグラントはつまらなそうで、取りあえず私は店内を歩き回ることにした。
(この花、宮殿の雰囲気にピッタリかも……)
思ってたより上質で、珍しい花がたくさん置いてある。
ちょうど会議室に行った際に、そこの花瓶に似合う花を飾りたいと思っていたところだった。
「なに、それ買うの?向こうまで半日かかるんだし、花は無理だと思うけど」
「……………そうだね。持って帰れたら良かったんだけど」
(町の市場でもこういった上質なのを売ってはいるけど、たまには輸入された珍しい花も欲しかったな………)
物欲しそうな顔に気づいたのか、グラントは私にある事を提案してきた。
「………それは無理かもしれないけど、さっき言ってたドライフラワーは大丈夫なんじゃね?」
ドライフラワーなら枯れる心配はないし、小瓶に入れればオシャレに見える。