暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



会話を楽しんでいる内に、気がつけば時刻は19時を回っていた。


19時と言えば陛下がお食事を召し上がる大体の時間で、客人は一緒に食事を取ることになっている。


(私のお腹も良い具合に空いてるし、タイミングとしては良いと思うけど、唯一気がかりなのは……………………)


「さて、アニ様。華(か)の間へ参りましょう」


近くにいたサニーさんが一言私にそう声を掛ける。


(陛下と食事を食べるって事だよね……)


行く前に軽く身なりを整えられた私は、使用人に連れて行かれ…………………というか場所は知っていたのだが、


陛下や貴族、招かれた客人だけが使う事を許されている華の間へと足を運んだ。


この部屋の掃除を何度かさせていただいたことはあるが、金の装飾が華やかで、上から降り注ぐシャンデリアの光は宝石のように眩しく、『華』と言うだけあって、とても華やかな部屋になっている。


無駄に横長いテーブルには、白いテーブルクロスがかかっており、所々に花を生けた花瓶がテーブルの上を着飾っていた。

「もう少しで陛下が参りますのでお座りになって少々お待ち下さい」


サニーさんが引いた立派な椅子に取り敢えず腰を下ろす。

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