暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】
_____次の日の朝。
「サニーさん。少し外に出かけたいのだが、誰に許可を取れば良いの?」
「忘れたのですか………サニーとお呼びください」
(気を抜くと直ぐに『さん』をつけてしまう………)
いつも通り早く起きてしまった私は、使用人が来るまで部屋の中にあった本で時間を潰していた。
ちょうど読んでいた本の表紙に描かれていた花があまりにも美しかったもので、
暇がてらに私は花屋に出かけたくなってしまったのだ。
「取り敢えず私やアニ様付きの使用人に言って下されば、こちらで上の者にお伝え致します」
使用人の場合、メイド長に外出届を出さなければならないが、客人の場合は使用人に言えば対応してくれるそう。
つまり、どこかに行く為には使用人に声をかけなければいけないと言うこと…………………。
仮に逃げ出すにしても、どこかへ遊びに出かけるにしても、近くには既に使用人が待機している為、そもそも部屋からも出にくい状況にある。