白き桜と黒き神

｢…それより、桜雨。そろそろ中に入ろう｣


そう言うが早いか、怜治は扉を開け放つと私をエスコートしてくれる


その姿に周りからはほうっと感嘆の溜息が聞こえた


？｢桜雨あぁぁぁあ!!!!!!!｣


その美しい情景を切り裂く、大きな叫び声


私はそれが誰のものか知っている。


『…悠馬…煩いわ。少しは怜治を見習って静かになさい。』


まだ開け放たれている扉の向こうからがザワりと騒がしくなった


まぁ、理事長に向かって命令しているのだから何様とでも思っているんでしょ


悠｢ご、ごめん…あー…それより、そろそろ扉閉めないか…？｣


理事長…基悠馬は私を上目遣いでチラッと見るとご機嫌を伺うかのようにへらりと笑った。


『…怜治…』


私が言うより前に怜治は扉を閉じる


怜治は私の斜め後ろ…いつもの定位置に戻ってくると理事長へ冷たい視線を向ける


悠｢ちょ、れーじ？！視線が痛てぇよっ！？｣


苦笑する悠馬に私も怜治も冷たい視線を投げかけ、先へ進めるように促す。


悠｢…とりあえず、座れよ｣