白き桜と黒き神
雅「…さて、呼んだら入ってきてもらえるか?」


私達は無言で頷くと廊下の窓から空を見上げる


暫くするとざわざわとしていた教室が一気に静まる。


きっと、この殺気が原因だろう。


雅也…仮にも教師であるお前が何をしているんだか。


雅「…桜雨。怜治。」


私達はその言葉に静まり返った教室へと恐ることなくすっと踏み入れる。


ざわっとまた教室がザワつくのを感じた。


雅「…自己紹介。」


…なんで単語なのよ…。


『…』


私は口を開くことなく腕を組んで瞳を閉じる


すると怜治が私の前に立ち、生徒の視線を阻むと私の分も自己紹介をした。


「藍島怜治。…彼女は逢坂桜雨。」


キャーッと教室の女子生徒…あと、1部の男子生徒から歓声が上がった


それだけ言うと雅也へと視線を向ける。


雅「…お前達…本当に相変わらずだな…」


顔を引き攣らせながらも苦笑すると窓側の一番後ろ2席を指さす。


歩きだそうとした怜治は動く様子のない桜雨を振り返ると桜雨は雅也に体を向けて短く端的に伝えた


『…雅也、私達は変わらないわ…』


「…良いの?人前で喋って…」


怜治は驚いたように目を見開くも、すぐにいつも通りの無表情に戻ると首を傾げた。


桜雨は表情を変えることも無く、口を開くこともなく、ただコクリと頷いた。


桜雨を窓際に座らせ、怜治は通路側に座る。


それは一種の牽制なのだろう。


実際に怜治はこちらに視線を向ける女子生徒や男子生徒を睨みつけていた


桜雨に…主人に手を出したらコロスと


暗に伝えていたのだろう。
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