彼は私の全てだった
蒼く、苦く
シュウと初めて逢ったのは高校1年の春だった。

真新しい制服に袖を通し、
桜並木の坂を登って門をくぐると白い校舎が見える。

入学式を終え、これから1年間、同じ教室で学ぶクラスメイトと対面する緊張の時だ。

教室に入ると出席番号順に席に着いて
担任が挨拶した。

それが終わると運命の席替えだ。

「それじゃ、この箱から一枚ずつ紙を引いてください。

机の上に貼ってある番号を見て同じ番号の席に座ってください。」

17番…それが私の引いた番号だった。

窓側から二列目の後ろから2番目。

隣にはどんな男の子が来るのだろう?

私はその時を少しドキドキしながら待った。

「あ、…小泉です。よろしくお願いします。」

それがシュウとの出会いだった。

日に焼けた顔に白く光る歯が印象的だった。

「か、柿沢ミチルです。」

笑顔が少し引きつってるのを感じた。

反対側の隣はシュウと同じ中学の男の子で
私を挟んで2人で会話することが多かった。

その度にシュウは私に

「いつもごめんね。
うるさいっしょ?」

と笑顔を見せた。

「大丈夫。気にしないで。」

私は新しい環境にまだ馴染めなくて
嫌われないようにと緊張していた。

そのうち私とシュウともう1人の男の子と3人で
よく会話するようになった。

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