彼は私の全てだった
しばらくするとマネージャーが言った。

「オープンして3ヶ月、店も軌道に乗って
シフトもうまく回る様になって来た。

そこで会社の方からお疲れさまという意味で
お疲れさま会を開くことになった。

えー、もちろん営業もあるのでシフトに入ってる人はまた別の機会を設けます。
入ってない人は全員参加でお願いします。」

私はシフトに入っていてその会に参加は出来ない。

もちろんシュウがいるのでそんな会は出たくなかった。

シュウも彩未も嫌そうだったが、
本社の偉い人も来るということで欠席出来ない状況だった。。

"ザマアミロ"と少しだけ思った。

もっとも彩未はシュウが居ればどこでも楽しそうだ。

私は少しだけヤキモチを妬きながらいつも2人を見ている。

シュウがあの時、頰を撫でた温かい手は
今や彩未のモノなのだろうか?

それでもシュウは彩未にも決して優しい訳じゃない。

シュウはいつもどこか面倒臭そうで
それでも私よりは彩未と話して
私よりは彩未と一緒にいる。

それは彩未が私より積極的だからと
彩未がシュウの過去を知らないからだ。

それだけの様に見えた。

「柿沢さんは参加しないの?」

シュウが珍しく自分から話しかけて来た。

「シフトはいってるから。」

「変わってやろうか?」

代わりに会社の飲み会に私に出ろって言うことなのだろう。

「食事会出たくないだけでしょう?」

「あの中村とか言う地区長も来るんじゃないの?」

シュウは私が中村さんの事を好きだと思ってる。

それはそうかもしれないけど…

ホントは中村地区長よりシュウの方がずっと気になってるって気がついてない。

「別に地区長が来るから行きたいとか思ってないから。」

結局、私はその夜社員一人で店に残った。

会が始まるのは食事のピーク時間を過ぎてからなので
お客さんはそんなに多く無い時間帯だが、
どの時間帯も社員は必ず一人は店にいる。

それでもいつも夜はマネージャーが居て、
女性社員が一人になることは無いが
今日は何かあったら社員である私が責任者になる。

「お疲れさま。」

不安に思ってるとなんと中村さんが応援に来てくれた。






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