彼は私の全てだった
朝方までシュウは私のベッドにいて
シャワーを浴びて帰った。

私はシュウが帰るまで眠ってるフリをした。

シュウに冷たい言葉を投げつけられたくないから。

なぜか帰り際にシュウが私の髪を撫でた。

眠ったフリをしながらドキドキして
起きてるってバレてしまうんじゃないかと思った。

シュウは私の知らないところで
私に優しくする。

この日、私は中村さんとシュウの話してる会話を偶然聞いてしまった。

「もうちょっと同僚を思いやったらどうだ?

いつも柿沢さんが面倒なこと引き受けてるだろ?

わかってるよな?」

私が昨日中村さんに転勤したいと言ったから心配してくれてるんだろう。

「柿沢さんに目かけてるんですね?

もしかして特別な関係とか?」

「そういうくだらない噂立てて柿沢さんに迷惑かけるなよ。」

「そっちこそミチルを傷つけるなよ。」

中村さんは少しビックリした顔をした後、笑顔を見せると
何も言わずにシュウの肩を叩いてその場を立ち去った。

シュウがあの時以外に…しかも他の人に私のことをミチルって言った。

しかも傷つけるななんて…

嬉しくなってしまって
その日は一日中幸せだった。

その後のシュウはすごく不機嫌で
私に辛く当たったけど私は笑顔だった。

シュウは私を嫌いになったわけじゃない。

そう思った。

傷つけるななんて中村さんには言っといて
自分は私を傷つけるばかりだけど
それはきっと愛情の裏返しなんだと思うことにした。

そう思わないと辛すぎる。

だって身体だけなんて思ったら
耐えられないほど私はシュウが好きだから。
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