彼は私の全てだった
その次の日彩未と一緒のシフトだった。

私は昨日、シュウが彩未の部屋に行ったのか不安になった。

だけどそんなことは聞けるわけがない。

彩未は鼻歌を歌いながら仕事をしていた。

かなりご機嫌のようだ。

シュウと上手くいってる感じがして
私は昨日シュウを拒んだことを後悔した。

「何が良いことあった?」

恐る恐る探ってみると
彩未は笑顔で答えた。

「わかる?

実はね、限定の欲しかったバッグが手に入りそうなの。」

「え?」

何だか拍子抜けしたがホッとした。

「えっ、あぁ、そうなんだ?

バッグかぁ。」

「そう、来月の誕生日にね、彼氏が買ってくれるって。」

次の瞬間、私はまた地獄に落とされる。

「実は私ね、シュウちゃんと付き合ってるの。」

「え?」

「柿沢さんだから話すんだけど…
シュウちゃんに付き合ってって告白したんだ。

そしたら昨日やっとね、付き合ってもいいって返事もらえたの。

誕生日だって言ったら
何が欲しいって聞かれて限定のバッグが欲しいって言ったら買ってくれるって!」

彩未の話はまるで噓みたいだった。

あのシュウがわざわざ限定のバッグを買いに行くとは思えなかったし、
昨日の今日で彩未に付き合うと言ったなんて
あまりにも安易に感じた。

だってシュウは昨日の夜…私を抱くはずだった。

私はその程度の女なのかと思ったら
やりきれなかった。




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