彼は私の全てだった
その日の夕方、中村さんが店にやって来た。
私は変に意識してしまってなんとなくぎこちない。
もっとも中村さんもいつもみたいに話し掛けて来ない。
もしかして嫌われたのかもしれないと不安になる。
そう思っていると
奥の事務所で二人きりになった時に中村さんから話し掛けて来てくれた。
「夜、電話しても良いかな?」
「はい。22時までは仕事なので…出られないですが…」
「わかってる。
終わった後にかけるよ。」
そう言って中村さんは私の頭をポンと叩いて
店を出て行った。
なんとなく始まりの気がした。
シュウからもう離れられると思った。
仕事を上がって着替えていると電話が鳴った。
「もしもし?
もう上がれる?」
「はい。」
「店の前にいるから。」
「え?」
電話は切れて、私は急いで着替えると
リップグロスだけを塗り直して急いで外に出た。
家に向かって少し歩くと通りの向こうで中村さんが待っていた。
「お疲れさま。」
「お疲れ様です。」
「お腹空いてない?」
「はい。お店で食べました。」
「そっか。じゃあ…少しだけ話せないかな?」
何を言われるのかドキドキした。
悪い話だとは思えなかった。
私たちは店から少し離れたカフェに入った。
窓側ではなくなるべく奥の人目につかない場所に座った。
中村さんは少し緊張してるみたいで
それは私も同じだった。
コーヒーを注文してしばらくは
「仕事はどう?」とか
「好きな食べ物は?」とか
「趣味とかあるの?」とか
まるでお見合いみたいなどうでも良い会話が続いた。
そして次に聞いたのが
「休みは何してる?」
だった。
「特に…お掃除とか…洗濯とか…
それから…ネット見たりとか…
あと…ゲームとかやったりとか?
特に友達もこっちに居ないし予定もないので…」
と笑って誤魔化した。
寂しい女だとドン引きされたに違いなかった。
そう思ってたら中村さんから突然誘いを受けた。
「よかったら…今度…2人で出かけない?」
この人の手を取ればきっと私の世界は変わっていく。
私はシュウを忘れたかった。
「はい。」
そして私は中村さんの手を取った。
私は変に意識してしまってなんとなくぎこちない。
もっとも中村さんもいつもみたいに話し掛けて来ない。
もしかして嫌われたのかもしれないと不安になる。
そう思っていると
奥の事務所で二人きりになった時に中村さんから話し掛けて来てくれた。
「夜、電話しても良いかな?」
「はい。22時までは仕事なので…出られないですが…」
「わかってる。
終わった後にかけるよ。」
そう言って中村さんは私の頭をポンと叩いて
店を出て行った。
なんとなく始まりの気がした。
シュウからもう離れられると思った。
仕事を上がって着替えていると電話が鳴った。
「もしもし?
もう上がれる?」
「はい。」
「店の前にいるから。」
「え?」
電話は切れて、私は急いで着替えると
リップグロスだけを塗り直して急いで外に出た。
家に向かって少し歩くと通りの向こうで中村さんが待っていた。
「お疲れさま。」
「お疲れ様です。」
「お腹空いてない?」
「はい。お店で食べました。」
「そっか。じゃあ…少しだけ話せないかな?」
何を言われるのかドキドキした。
悪い話だとは思えなかった。
私たちは店から少し離れたカフェに入った。
窓側ではなくなるべく奥の人目につかない場所に座った。
中村さんは少し緊張してるみたいで
それは私も同じだった。
コーヒーを注文してしばらくは
「仕事はどう?」とか
「好きな食べ物は?」とか
「趣味とかあるの?」とか
まるでお見合いみたいなどうでも良い会話が続いた。
そして次に聞いたのが
「休みは何してる?」
だった。
「特に…お掃除とか…洗濯とか…
それから…ネット見たりとか…
あと…ゲームとかやったりとか?
特に友達もこっちに居ないし予定もないので…」
と笑って誤魔化した。
寂しい女だとドン引きされたに違いなかった。
そう思ってたら中村さんから突然誘いを受けた。
「よかったら…今度…2人で出かけない?」
この人の手を取ればきっと私の世界は変わっていく。
私はシュウを忘れたかった。
「はい。」
そして私は中村さんの手を取った。