彼は私の全てだった

そして夏がやってきて、私たちは夏休みを順番で取ることになった。

私は久しぶりに3日間の連休をもらって
実家に帰ることにした。

母からたまには帰ってきなさいと言われたし、
友達にも会いたかった。

シュウとすこしの間離れるのも良いかもしれないと思った。

「ミチル〜〜！元気だった？

少し痩せたんじゃない？」

高校からずっと仲の良かった優衣は彼氏が出来て
すごく綺麗になった。

「優衣、なんだかすごく綺麗になっちゃって
幸せオーラ出まくりじゃん。」

「ねぇ、ミチルはどう？
小泉と再会したんでしょ？

上手くいってる？」

「ううん、全然。
なんかシュウは別人みたいに変わっちゃってて…

昔とは全然違うの。」

落ち込んだ私の顔を見て優衣は心配そうな顔をした。

「あのさ、小泉のことなんだけど…

実は健太から聞いたんだけどね。

小泉…あの時、お母さん亡くなって叔父さんと長野に越したんだって。」

そのことは私も知ってる。

「うん。シュウから聞いた。」

「それでさぁ、そのお母さんなんだけどね…
どうやらまともな死に方じゃなかったらしいんだ。

詳しくはわかんないけど…殺されたんじゃないかって…」

それはあまりに衝撃的だった。

「ま、まさか…そんな事件だったら新聞とかテレビとか大騒ぎじゃん？」

「だよねぇ。この街でそんな事件あったらもっとみんな知ってるよね。」

私はシュウが心配になった。

会って抱きしめてあげたかった。

殺人事件ではないにしても
きっとシュウのお母さんの死はシュウにとってそれくらいの衝撃だったはずだ。

私は二泊の予定を一泊に切り上げてシュウの元に戻ってきた。

私がシュウの部屋を訪れると
彩未が泣きながら飛び出してきた。