彼は私の全てだった
シュウは彩未を使って中村さんを陥れた。

私が中村さんと仲良くしてるのが気に入らなかったのだ。

それは私を愛してるからじゃない。

自分への愛が冷めるのを恐れたからだ。

中村さんの話はあっと言う間に広まって大問題になっているようだった。

本社から人が来て
彩未に話を聞いている。

「あり得ないよなぁ。

地区長はそんなことする人じゃないと思うんだけど…」

とマネージャーが呟いた。

「嘘ですよ。

瀬戸さん、嘘ついてるんです。」

私がそう言うとマネージャーは

「やっぱりそうだよな?

俺も絶対にないと思うって本社の人に言ったんだ。」

私は彩未に何度も言った。

「本当の事言いなさいよ!」

シュウはまるで自分には関係ないとでも言うように
いつもと変わらずに仕事をしている。

本社の人は私にも話を聞きに来た。

「柿沢さんは中村地区長から何かそういう感じのことはされなかったですか?」

「あの、中村地区長がセクハラしたっていうのは瀬戸さんの嘘だと思います。

私、本人に聞いたんです。

あれは嘘だって。」

本社の人は淡々と私の話を聞いて

「ありがとうございました。」

と言って帰って行った。

私はどうしても許せなかった。

彩未を呼び出してもう一度言った。

「このままでいいの?

ちゃんとホントの事言ってよ!」

彩未も責任は感じてるようだが
嘘だったと言う勇気が出ないようだ。

「私がシュウと別れるから。」

「ホント?」

「そう言ったらホントの事言ってくれる?」

彩未は考える間も無く頷いた。

「別れるからちゃんと本社の人に言ってくれる?

あれは嘘だって。」

彩未が頷いてマネージャーに話をしに行った。

そして私はシュウに別れを告げる事になった。
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