彼は私の全てだった
「痛い?

でも私の心のがもっと痛い!

シュウちゃんはアンタが浮気したせいで中村を陥れようとしたんじゃない!

私…バカみたいじゃない?」

殴った彩未の方が痛そうで私は返す言葉を無くしていた。

それでも私の決意は固かった。

今のシュウを突き放す事はとてもじゃないけどできなかった。

「シュウってそういうヤツだよ。

知らなかった?

人を傷つけて喜んでる。

だから…なおさら放っておけないの。

今、シュウから離れたらシュウはもっとダメになる。

瀬戸さんは結局、そんなシュウから逃げるんでしょ?」

彩未は泣いてた。

綺麗な顔はグチャグチャで
マスカラが流れて黒い涙になっていた。

「シュウちゃんが好きなのは私じゃなくて柿沢さんだって分かったら…もう苦しくて…

今回のことも怖かった。

地区長は悪い人じゃないし、
相談にものってもらったこともあったし…

怖かった。

無実の人の人生を狂わせるなんて…

私だってしたくなかった。

シュウちゃんは本当に怖い人だと思った。

それでも好きだけど…もう一緒に居たら自分が自分じゃなくなりそうで…」

彩未の気持ちは痛いほどわかった。

シュウとこのまま一緒に居たら私もきっと変わってしまうだろう。

それでも私はシュウからは離れられない。

シュウを助けられるのは私しかい居ないとその時は思っていた。



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