仁科くん、君ってやつは
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昼休み。
酒井くんとお出かけをする約束を手に入れた私は、それはもうルンルンで。
試験期間じゃないと人が訪れない図書室で、スケジュール帳を開いた。
14日、ホワイトデー。
その欄にオレンジのペンで"酒井くんとお出かけ"と書く。
私にとっては嬉しすぎるお返しに、自然と口元が緩んだ。
あと2日。早く時間が過ぎればいいのに。
「ふーん、望月さん日曜に酒井くんと出かけるんだ」
「あっ、ちょっと……!」
だから、ちょっと油断した。
後ろから誰かによって取られたスケジュール帳。
まぁ、もう見なくたって誰だか分かるんだけど。
「俺の知らないとこでこんな約束してたなんて。
望月さんのくせに生意気」