仁科くん、君ってやつは


***



昼休み。

酒井くんとお出かけをする約束を手に入れた私は、それはもうルンルンで。



試験期間じゃないと人が訪れない図書室で、スケジュール帳を開いた。




14日、ホワイトデー。


その欄にオレンジのペンで"酒井くんとお出かけ"と書く。


私にとっては嬉しすぎるお返しに、自然と口元が緩んだ。



あと2日。早く時間が過ぎればいいのに。





「ふーん、望月さん日曜に酒井くんと出かけるんだ」


「あっ、ちょっと……!」




だから、ちょっと油断した。


後ろから誰かによって取られたスケジュール帳。

まぁ、もう見なくたって誰だか分かるんだけど。





「俺の知らないとこでこんな約束してたなんて。

望月さんのくせに生意気」


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